食材の温度管理で持ちを良くする方法

今回は居酒屋経営でよくある食材を腐らせて使えなくなってしまった。

使えなくても時間が経ち味が悪くなってしまったなどの食材ロスについてお伝えしていきます。

 

原価率が上がる原因の1つに仕入れた食材が使えなくなるという事があります。

例えば1ヵ月50万円の仕入れがあって5%のロスが発生している場合、1ヵ月2.5万円。

150万円の売上に対して単純計算ですが33%から38%(細かく計算すると35%)の原価率になってしまいます。

 

極力食材を長持ちさせたり食材の美味しさをキープする方法について3つお伝えしていきます。

  • 1つ目は温度です。冷蔵庫の温度は調整出来ますし、冷蔵庫内の場所によって微妙に温度差があります。
  • 2つ目にその食材に向いている温度で保存するということです。
    例えば冷蔵庫に向いていない野菜があったりしますし、物によっては今の食材状態では冷蔵庫に入れる必要がないという場合があります。
  • 3つ目に極力調理する前や食べる直前にカットしたりすることです。

では次からもう少し先ほどお伝えした3つの事について細かくお伝えしていきます。

1.食材の温度管理で持ちを良くする方法

一般的に食材を保存する温度の目安ですが、

  • 冷凍庫:-18℃以下
  • チルド室:0℃
  • 冷蔵室:0~4℃
  • 野菜室:3~8℃
  • 冷暗所:13度以下

です。

メーカーによって温度表記の差はあります。

 

これを基本にして適正な温度で食材を保存することによって持ちが大きく変わります。

-18℃以下で保存すれば一般的に菌の増殖や食材の痛むスピードを止めれるといわれています。

 

そこで注意点ですが一般的な家庭用冷蔵庫では-18℃以下まで下げれる冷凍庫はあまりありませんし、業務用の冷凍庫も設定で-18℃以下まで出来るのですが、営業中に何度も開け閉めしたり、霜取りがはじまって-18℃以下ではない事が多いのです。

よって冷凍庫で保存しても徐々に食材が痛んでいるという事を頭に入れておきましょう。

 

あと夏場と冬場、他には冷蔵庫内の保管場所によって冷凍庫や冷蔵庫の温度が大きく変わります。

冷気口に近い所は温度が低くなり冷気口から離れている所は温度が高めになります。

夏場ではちょっと開けるだけで冷凍庫や冷蔵室の温度が上がりやすく、冷凍庫や冷蔵庫の温度も低くなりずらいです。

夏場は店内も暑くなるので、冷凍庫や冷蔵庫の周りに極力物を置かない、特に空気の出入り口を塞がないようにしましょう。

 

あとはフィルターの掃除です。

ビールサーバーのフィルター掃除は2週間に1回はするようにと言われていると同じく、冷蔵庫や製氷機のフィルター、特に夏場は必ず2週間に1回は掃除しましょう。

夏場、店内が暑くなってくると機械にも負担が大きく掛かるので少しでも負担を減らす為にフィルター掃除は重要です。

 

他には冷凍庫や冷蔵庫に温かいまま食材を入れないことです。

そのまま冷やせて保存が出来て楽なのですが、冷凍庫や冷蔵庫の温度が上がってしまい他の食材に影響してします。

チルド室ですが肉や魚を保存する時に適してます。

温度にもよりますが、肉や魚の場合、チルド室と冷蔵室では持ち時間が2倍位差があります。

野菜類は意外に冷蔵庫保存に向いていない物があります。

例えばきゅうりは10~13度が適正となっているので冷蔵室でちょっと不向きです。

ちょっとでも持ちを良くしたい、お客様に美味しく食べてもらいたいという方は再度食材の適正温度を調べていただけたと思います。

 

あと賞味期限と消費期限にも注意しましょう。

簡単に説明すると賞味期限はその日までは美味しく食べれるという期限。消費期限はその日まで食べれるという期限です。

一般的に消費期限と表記してある商品は製造から5日以内に設定されています。

よって消費期限を超えた物を食べるとお腹を壊す可能性があります。

反対に賞味期限を超えた物を食べてもお腹を壊す可能性は低いという事になります。

 

あと消費期限や賞味期限はそれを作った方の元々の食材の影響や保存状態によってかなり変わるので目安という事を頭に入れておきましょう。

実際に消費期限の日にまだ達していないのに明らかに食べないほうが良い状態だったりもしますし、消費期限の日を過ぎても問題ない場合もあります。

あとは消費期限は4度以下の保存と書いてあるのがほとんどなので購入した物はすぐにチルド室や冷蔵室にしまいましよう。

 

賞味期限は10度以下の保存と書いてある物が多いです。

なので消費期限の食材よりかは多少出しっぱなしでも問題ありません。

よって消費期限の商品は劣化しやすいとう事がわかったと思います。

 

あとは直射日光・高温多湿をさけ、涼しい場所に保管してくださいや常温で保存という表記もありますが20度前後位と思っていただけたらと思います。

夏場だと場所によって30度以上になる場合は常温保存可能な食材でも冷蔵庫にしまった方がよいです。

2.食材の持ちを良くする為に適している場所

肉や魚は劣化するスピードが速いので極力温度が低い場所で保存しましょう。

チルド室がない場合は冷蔵庫の設定温度を下げる。

あとは開け口に近い所に肉や魚を保温せずに温度変化が少ない奥や冷気が出ている場所の近くに保存することをお勧めします。

よく肉や魚は消費期限の日になっていないのに劣化していたり、食べたら美味しくない状態になってしまっている事があるかと思いますが、冷蔵庫の温度が高かったり、温度変化が大きい所に保存してしまっている事が原因だったりもします。

 

他には夏場と冬場では設定温度を調整、どうしても外気に影響されやすいので冬場の設定温度より夏場は低めにした方がいいです。

あと冷蔵庫にはある程度隙間が必要。

容量の8割以上いれないようにした方が温度が安定しやすいです。

ちなみに冷凍庫は冷気が出てくる所を開ければキツキツに入れても問題ありません。

3.調理や提供前にカットし食材の持ちを良くする

居酒屋経営をしていて刺身の提供する場合、事前に切って皿に盛っておくと注文された時にすぐに提供出来て提供時間が短縮、お店の回転率を上げる事が可能です。

しかし切った瞬間にどんどん劣化が早まります。

 

柵の場合と切った場合では劣化スピードに大きく差があります。

よくスーパーで売っている刺身で切り身は消費期限が3日だったりしますが刺身だとその日、買った日が消費期限になります。

 

なのでお客様の為にすぐ提供したい気持ちや人員が足らないから切り置きしたい気持ちもわかりますが、刺身として一口サイズに切った物は12時間以内を目安に提供する。

もちろんお店の予約が入っていて例えば18時からお客様が来ると分かっている場合はその1時間前位に切り置きして冷蔵庫にしまっておいてお客様が来店された時にすぐに提供できる方法で問題ないです。

なので今日の営業で提供出来そうな量を切り置きして、必要以上に切り置きしないようにしましょう。

味も落ちますし、ロスも増えてしまいます。

 

先ほど刺身でお伝えしましたが、肉でもほとんど同じです。

ちなみに魚より肉の方が劣化しにくいです。

目安として魚が3日とすれば肉だと1週間位持ちます。

もちろん肉も塊とカットやスライスでは持ちが大きく変わります。

例えばスーパーでスライスされてる肉は消費期限3日以内がほとんどですが、塊だと1週間持ちます。

 

他には加工品、ソーセージやハムやチーズ、恐らく消費期限ではなく賞味期限の表記だと思いますが開封前の日にちです。

よって開封すると物にもよりますが冷蔵庫保存で1週間以内で使い切った方がいいです。

1Lのパックの牛乳やパックのオレンジジュースも開封前の日にちです。

なので開封したら極力早めに使用。

 

あと商品によっては開封後は冷蔵庫に保存と表記してあったり、開封後はその日で使い切るようにと書いてありますのでよく見て守っていきましょう。

野菜は賞味期限すら書いていないと思います。

カット野菜は消費期限が書いてあると思います。

先ほど説明しましたカットすると著しく劣化するので野菜でも冷蔵庫保存で期限も決まっています。

 

野菜は保管の仕方をしっかりすれば凄く持ちますし、特に玉ねぎはカットしなく保存状態をよくしておけば3ヵ月は持ちます。

もちろん持ちの良い玉ねぎでもカットすれば持ちが悪くなりますし、細かくスライスしてした場合は冷蔵庫で3日位が目安だと思います。

野菜類は何でも冷蔵庫に入れた方が持ちが良くなる訳ではないのでここでは省略しますが1つ1つの食材の保存方法を確認していただけたらと思います。

 

今回お伝えしたことを是非頭に入れて料理する時の味やカットすると、どれ位劣化するのか確認して、お客様には出来るだけ美味しい料理を提供して常に満足度を高めていきましょう。

 

最後に1つ、食材の持ちを良くする技、方法もお伝えしていきます。

それは塩漬けや酢に漬け込むという方法です。

実際に漬物やピクルスにすれば持ちが良くなると同じです。

余ったオニオンスライスには酢や塩を使ってマリネにする方法も有効ですし、カットしてしまった肉に味付けして保存した方が持ちが良くなります。

 

私のお店でもから揚げを作っていますが、真空パックから開封したらすぐに味付けをして漬け込みしています。

塩分の強さや保存温度や開封前の状況にもよりますが1週間以上持つこともあります。

他には油でコーティングも持ちが良くなります。

真空機械を使用すると更に劣化を遅らせる事が可能。

但しあくまでも劣化スピードを遅らすだけなのであまり過信、塩漬けにすればいつまでも平気という考えはやめましょう。

まとめ

食材ロスを減らせれば無駄な仕入れが減り原価率を下げれる。

その食材に合った温度や環境で保存すれば劣化するスピードを抑えれる。

営業中の作業を減らしたいからといってその日に使う食材以外は切り置きしないようにする。

塩分や酢、砂糖、油、他には真空にすることによって劣化スピードを落とせる方法がある。

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